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7月末から、1ヶ月間だけ翻訳の仕事をすることになった。
きっかけは、フリーランス時代からお世話になっている、通翻訳に特化した派遣会社からの電話だった。もう20年以上の付き合いになる。かつて通っていた通訳学校の、まさにそのコースの卒業生を、この会社は積極的に紹介してくれていた。
電話の着信の相手は懐かしい担当者だった。長年、親身になって仕事を紹介してくれていた人だ。久しぶりの連絡だと思い、喜んで電話に出た。
しかし、電話の向こうにいたのは、別の担当者だった。長年お世話になっていたその人は、すでに定年退職していたのだ。時の流れを、こんな形で実感するとは思わなかった。
用件は、求職中かどうかの確認だった。求職中であることを伝えると、興味があれば返信してほしいと、案件のメールが送られてきた。
ブランクを正直に話す
ブランクについては、正直に話した。病名は言わなかったが、病気だったこと。両親の介護をしていたこと。母が亡くなったこと。父が介護施設に入ることが決まったこと。
幸い、その間もフリーランスの友人のピンチヒッターを務めたことが一回だけあった。その話もした。私はもともと正社員、派遣社員、フリーランサーという3つの働き方をしてきたので、ブランクがあっても「フリーランスの仕事をしているのだろう」と思われることが多い。今回もおそらく、そう捉えられていたと思う。
Zoomで面接、パワポができるかという質問
Zoomでの面接には、派遣会社の担当者と、相手企業のIR担当者の男性2名が同席した。業務内容は、IRと株主総会関連資料の英訳で、パワーポイントの資料が多いとのことだった。
同じ派遣会社から派遣された翻訳者たちは、みなパワポで苦労しているという。そのため、パワポができるかどうかを聞かれた。
正直に答えた。大手企業で働いていた頃は、パワポやエクセル、数字入力は専門のスタッフが担当していて、そちらに任せきっていた。だから、パワポはできなかった。
そう答えながら、ふと友人の顔が浮かんだ。彼女は翻訳の学校を卒業したが、経験がなく、翻訳専任の仕事を見つけるのは難しかった。結局、翻訳と庶務を兼ねる仕事に就いた。アットホームな会社で、少人数でさまざまな業務を回しているうちに、彼女は自然といろいろなスキルを身につけていった。
今、AIが翻訳者の仕事に取って代わりつつある中、彼女は翻訳コーディネーターという仕事をしている。フリーランスの翻訳者に仕事を発注し、数名がかりで仕上げた成果物のスタイルや用語を統一し、間違いがないかをレビューする。もちろん、自分でも翻訳をする。パワポを一から作るところから関わることもあるという。
一方、私は大手企業で専門職として働き、年に1回、静岡へ泊まりがけの研修にも参加していた。もっとも、会計士ではない私たちが参加する研修はごくわずかで、残りの時間は観光や温泉で過ごしていた。そんな間、彼女は着々と、仕事場でさまざまなスキルを学んでいたのだった。
「可愛い子には旅をさせろ」という諺が頭に浮かんだ。旅をしておけばよかった。後の祭りである。
それでも、トライアルを受けてほしいと言われた。Macを使っていること、AIの使用が可能かを尋ねると、Windowsのパソコンを貸し出すので、Copilotなら使えるとのことだった。初日にPCを借りに行き、最終日に返却する日以外は、在宅で構わないとも言われた。
前編はここまでにして、実際のトライアルの様子と、その後の顛末は後編で綴る。


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