【留学珍事件】スーパーで豆腐の品質検査員になった話|ウィスコンシン留学生の実体験

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アメリカのスーパーで豆腐を見つけたとき、心が躍った。ウィスコンシンに豆腐が売っている—それだけで嬉しかった。しかしその豆腐が、思いもよらない出来事の始まりになるとは思っていなかった。

ウィスコンシンで豆腐を発見した日

留学中、食事で一番苦労したのは日本食の調達だった。ウィスコンシンは中西部の農業州で、日本食材を扱う店はほとんどない。シカゴまで行けば揃うが、車で片道7時間かかる。雪の積もる冬には行けない。

そんなある日、近くのスーパーの棚に豆腐を見つけた。キッコーマンの醤油がウィスコンシンのスーパーで売られているのは知っていた。しかし豆腐まであるとは思っていなかった。迷わず手に取り、購入した。

開けた瞬間にわかった。腐っている。においと見た目で一目瞭然だった。

交換してもらったら、また腐っていた

腐った豆腐を持ってすぐにスーパーへ戻った。事情を説明すると、店員はすぐに交換してくれた。感じのいい対応だった。

しかし家に帰って開けると、また腐っていた。

同じことが2度続くと、これは私の運が悪いのではなく、スーパー側の問題だと思い始めた。もう一度店に戻ることにした。

豆腐の品質検査を依頼された

3度目にスーパーへ行き、2度続けて腐っていた事実を伝えた。店側は困った様子を見せた後、意外なことを言った。

「陳列している豆腐と、裏のストックにある豆腐を、日付ごとに開けて確認してもらえないか」

留学生の私に、品質検査を依頼してきたのだ。断る理由もなかった。仕入れている量が多くなかったので、作業はすぐに終わった。しかし結果は驚くべきものだった。腐っている豆腐が、想像以上に多かったのだ。

おそらく仕入れてから時間が経ちすぎていたのだろう。当時のウィスコンシンで豆腐を買う客は少なく、回転率が極端に低かったに違いない。もしくは、賞味期限が長いと誤解していたのかもしれない。

アルバイト代の代わりに食料品をもらった

作業が終わると、店のスタッフにお礼を言われた。そして現金を差し出してきた。アルバイト代のつもりだったのだろう。

しかし私は断った。留学生ビザでは就労が禁止されている。アルバイト代を受け取ることはできない、と説明した。

するとスタッフは少し考えてから、大きな袋を持ってきた。食料品を山ほど詰めて、「これはお礼のプレゼントだ」と言って渡してくれた。当然、豆腐も入っていた。お金ではなく物であれば問題ない、ということらしかった。ありがたくいただいて家に帰った。

食料品が入った重い袋を抱えて家に帰りながら、アメリカ人の対応の仕方が日本とは違うと感じた。問題が起きたとき、相手を責めるのではなく、一緒に解決しようとする。そのフラットな姿勢が印象に残った。

その後、顔なじみの「検査員」になった

それ以降、そのスーパーに行くと、時々声をかけられるようになった。

「豆腐の消費期限を見てもらえるか」

当時のウィスコンシンは東洋人が非常に少なく、豆腐の品質に詳しい客などほとんどいなかった。私は顔を覚えられていたらしく、行くたびに豆腐コーナーへ案内された。

作業が終わるとお礼として食料品を受け取った。現金ではなく物であれば問題ないという、最初の取り決めがそのまま続いた。留学中、これほど地元のスーパーと深い関係を築いた留学生はそういないと思う。

この経験から学んだこと

腐った豆腐から始まったこの出来事は、いくつかのことを教えてくれた。

  • 正直に問題を伝えることが大切—黙って捨てていたら何も起きなかった。伝えたから解決につながった
  • 困ったことが縁になることがある—トラブルがきっかけでスーパーのスタッフと顔なじみになった
  • アメリカ人は問題を一緒に解決しようとする—クレームではなく情報提供の姿勢で話すと、相手の対応が変わる
  • 「珍しい存在」であることが武器になることもある—豆腐の品質がわかる人間が近くにいないからこそ、声をかけてもらえた

※現地のアジア系スーパーでも日本食材は入手できます。

日本食が恋しくなったときのために
当時と違い、今のアメリカでは多くのスーパーで豆腐や日本食材が手に入る。ただし日本の味とは異なることも多い。だしパック味噌を少し持参しておくと、いざというとき心強い。自分用ではなく、友人を招く時用には赤味噌よりも白味噌のを好むアメリカ人が多かった。

まとめ

スーパーで腐った豆腐を2度続けて買ったことが、思いもよらない経験につながった。留学中、困ったことはたくさんあった。しかしそのほとんどが、後から振り返ると面白い話になっている。トラブルを恐れずに動いたことが、留学生活を豊かにしてくれたと思っている。


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