【実体験】失業保険をもらうと老齢厚生年金が0円に!傷病手当金との違いと落とし穴

日本年金機構からのお知らせ

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日本年金機構より封書が届いていた。開封すると国民年金・厚生年金保険 支給額変更通知書が封入されていた。そして老齢厚生年金の合計年金額(年額)の欄が0円になっていた。今までは平均で月額37万円受け取っていた。

以前、第40.7章:高額療養費制度・傷病手当金—がん治療で仕事を失った1年半のお金の話で、傷病手当金を受給しながら過ごした時期について触れた。私はその傷病手当金をもらいながら老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金など)を調整受給していたのだが、傷病手当金の終了に伴って失業保険(雇用保険の基本手当)に切り替えた途端、年金が突然ストップした。

「手続きを間違えたのだろうか?」「損をしているのではないか?」と焦るのも無理はない。

結論から言うと、これは計算ミスやトラブルではなく、法律で決まっている制度上の仕組みである。なぜこのようなことが起きるのか、損はしていないのか、その理由を分かりやすく解説する。

なぜ?失業保険をもらうと年金が「全額停止(0円)」になる理由

65歳未満で受け取る老齢厚生年金と、ハローワークで受給する失業保険(基本手当)には、併給調整というルールがある。「同じ月について、同時に両方を受け取ることはできない」という法律上の決まりである。

ハローワークで求職の申し込みをして失業保険の受給資格が発生すると、失業保険の支給が優先される。その期間中の老齢厚生年金は、全額停止(0円)となる。

傷病手当金のときは年金がもらえていたのに、なぜ?

ここで一番疑問に思うのが、「傷病手当金のときは年金も一緒にもらえていたのに、なぜ失業保険になったらゼロになるのか?」という点である。

実は、「傷病手当金」と「失業保険」では、年金との調整ルールが全く異なる。

傷病手当金 × 年金 ➔ 「差額支給」
年金が優先して支給される。傷病手当金の額が年金より多い場合、年金を満額受け取った上で、傷病手当金から年金分を引いた「差額」が傷病手当金として支給される。そのため、年金の振込自体は止まらない。

失業保険 × 年金 ➔ 「完全停止」
どちらか一方しか選べず、失業保険が優先される。そのため、年金側が完全にストップして0円になる。

年金が0円になって「損」はしていない?

「年金がゼロになるなら、失業保険をもらうと損なのではないか?」と不安になるかもしれない。

しかし、トータルで考えると損をしていない(むしろ得になっている)ケースがほとんどである。一般的に、失業保険(基本手当)の日額は、特別支給の老齢厚生年金の日額よりも高く設定されていることが多いためだ。年金が0円になる代わりに、より手厚い失業保険を受け取っている状態と言える。

とはいえ、65歳の誕生日の前日まで継続されると説明を受けていたので、納得しがたい。なんだか損をしてるような気持ちになるのは否めない。できることなら両方受給したいというのが正直な気持ちだ。私は強欲なのだろう。

64歳から失業保険を受給する場合の注意点

私は今年で64歳になる。失業保険は1年で受給が終了するとしても、結局老齢厚生年金の支給が再開されても1ヶ月で終了してしまうことになる。年齢が65歳に近いタイミングで失業保険を受給する場合、この「年金が再開してもすぐに65歳を迎えて年金制度自体が切り替わる」という点は、あらかじめ知っておいた方がよい。

年金の受給タイミングや制度の仕組みは、知っているかどうかで手取り額に大きな差が出る。今回のような「失業保険と年金の併給調整」もその一つだが、他にも「繰り上げ」「繰り下げ」の選択で数百万円単位の差が生じるケースもある。

自分の場合はどうなるのか、一度体系的に整理しておきたい人には『知れば知るほど得する年金の本』(服部貞昭著)がおすすめだ。年金受給年齢の最適解のシミュレーションから、申請しないともらえないお金、増やす方法まで、実践的な知識がまとまっている。

失業保険が終わったら年金はどうなる?

失業保険の受給期間が終了(所定給付日数をすべて受給)すれば、翌月分から老齢厚生年金の支給が自動的に再開される。一生涯年金がもらえなくなるわけではない。

受給中に病気や介護で働けなくなったら?

受給期間の途中で、病気やケガ、家族の介護などにより働けなくなることもある。実はここに、多くの人が知らない制度上の救済措置がある。

対応は「働けない期間の長さ」によって2つに分かれる。

① 15日以上、就労できない場合 → 「傷病手当」への切り替え

失業保険(基本手当)を受給中に、病気やケガで引き続き15日以上働けなくなった場合、基本手当を「傷病手当」に切り替えて受給することができる。名前は似ているが、健康保険の「傷病手当金」とは別の制度で、雇用保険から支給される傷病手当である。

② 30日以上、就労できない場合 → 「受給期間の延長」

引き続き30日以上働けない状態が続く場合は、失業保険の受給期間そのものを最大3年間延長することができる。これにより、本来1年間の受給期間が最長4年まで延び、働ける状態に戻った時点で、残っている失業給付の支給を再開できる。

この延長制度は、病気やケガに限らず、以下のようなケースでも申請が可能である。

  • 病気・ケガ
  • 妊娠・出産・育児(3歳未満の子の養育)
  • 親族の介護
  • 配偶者が事業主の命令により海外勤務となり、それに同行する場合

(出典:ハローワーク新宿)

つまりこれは、特殊な状況に限った話ではなく、制度が最初から想定している、正式な救済措置である。

延長すると、年金はどうなる?

ここが一番重要なポイントである。

失業保険(基本手当)を受給している間は、老齢厚生年金は全額停止(0円)になる。しかし、受給期間の延長を申請し、失業保険の支給自体を一時的に止めれば、その間は年金の全額停止という措置も外れる。つまり、

  • 失業保険を「受給している」間 → 年金は0円
  • 病気や介護で受給期間を「延長し、給付を止めている」間 → 年金は通常通り受け取れる

働けない期間は年金でしのぎ、働けるようになったら延長していた失業給付を受け取る、という選択ができるわけである。

まとめ: 焦らず失業保険をしっかり受給しよう

  • 65歳未満の老齢厚生年金と失業保険は同時に受給できない
  • 傷病手当金(差額支給)と違い、失業保険は年金が全額停止(0円)になる
  • 手元に入る金額としては失業保険の方が手厚いことが多い
  • 失業保険の受給が終われば年金は再開される
  • 受給中に15日以上働けなくなった場合は「傷病手当」への切り替えが可能
  • 30日以上働けなくなった場合は「受給期間の延長」(最大3年、通常の1年と合わせて最長4年)が可能
  • 延長が認められる理由には、病気・ケガのほか、妊娠・出産・育児、親族の介護、配偶者の海外赴任への同行なども含まれる
  • 受給期間を延長して失業給付の支給を止めている間は、年金の併給調整も外れるため、年金を通常通り受け取ることができる

振込額「0円」の通知を見ると一瞬ヒヤッとするが、仕組みさえ分かれば恐れる必要はない。まずはハローワークに相談し、自分の状況がどの制度に当てはまるか確認した上で、次のステップや再就職に向けた準備を進めていこう。

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