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文部科学省を敵に回すつもりはないが、昭和時代の公立の中学・高校の英語教育には、非効率な学習——もっと言えば無駄な内容が多かったと思わずにはいられない。
仮定法で挫折した友人たち
私の友人の多くが英語で挫折したのは「仮定法」だったという。私にも覚えがある。
昭和時代(特に1960〜1980年代)の英語教科書では、仮定法は「文法項目として暗記させる」教え方が中心だった。まず型を覚えさせ、例文を反復させる方式が基本だ。そもそも「事実に反する仮定」って何?と、当時の学生たちは戸惑った。
昭和の仮定法教育の5つの問題点
① 文法用語を最初に覚えさせた
「仮定法過去」「仮定法過去完了」という名称を最初に覚えさせられた。語学の授業であるのに、話すことよりも覚えることが重視されていたのだ。
② 「were を使う」と丸暗記
特に有名なのが「If I was…ではなくIf I were…」というルールだ。「I でも were を使う」と覚えさせられて、なぜそうなるのかという説明は一切なかった。
③ 「事実に反する」という説明
教科書には必ず「現在の事実に反する仮定」という説明があった。つまり、If I were rich…(実際は金持ちではない)というように教えられたのだ。
④ 仮定法過去完了の暗記
高校では以下の例文で、ひたすら暗記する学習が中心だった。
If I had studied harder, I would have passed the exam. 「もっと勉強していたら合格したのに。」
- If + had + 過去分詞
- would have + 過去分詞
⑤ 和訳重視・運用面はゼロ
「〜なら…なのに」という日本語訳を正確に書けることが重視された。一方で、どんな場面で使うのか、ネイティブがどう感じるのかといった説明はなかった。
その結果、試験は書き換え問題・穴埋め・和訳中心になりやすく、典型的な授業の流れはこうだった。
- 規則を説明する
- 例文を提示する
- 和訳する
- 似た文を何度も練習する
- テストで再現できるようにする
伝説の「クジラ構文」
昭和の受験英語で最も有名な奇妙な構文のひとつが「クジラ構文」だ。
A whale is no more a fish than a horse is. 「馬が魚でないのと同様に、クジラも魚ではない。」
この構文を初めて見た時は、頭の中がクエスチョンマークだらけになった。なぜ馬?なぜクジラ?なぜ魚?和訳も理解しがたい。結局何が言いたいのかと思った。
つまり「クジラは馬と同じく魚ではない」と言いたかっただけなのだ。なぜこんな回りくどい言い方をするのか、今でもよくわからない。
矛盾だらけの「強調構文」
さらに不思議だったのが、強調構文(It is…that構文)の例文だ。
It was nobody that called me last night. 「昨日の夜、私に電話をかけてきたのは誰でもなかった。」
わざわざ「It is…that」を使って大げさに登場させた主役が「Nobody(誰もいない)」というオチ。
じゃあ言うな。
まとめ
昭和の英語教科書における仮定法・クジラ構文・強調構文は、暗記型・翻訳型・文法中心の教え方の象徴だった。コミュニケーション重視ではなく、正確に型を覚えることが第一だったのだ。
その結果、英語から脱落した人は数え切れない。教科書のせいとしか思えない——というのが、30年以上翻訳者として生きてきた私の正直な感想だ。
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【Cambly(キャンブリー)】→ 続きはこちら:コラム:カタカナ英語の呪いから脱出するまで|昭和の英語教師と発音矯正の苦い記憶



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