第8.4章:まるで殺人現場!?マイナス20度のウィスコンシンで遭遇した「鹿狩り」

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11月のある日のことだった。私は車を運転して、近くのスーパーマーケットに向かっていた。

すると、前方に信じられない光景が現れた。なんと、対向車の屋根の上に「死んだ鹿」が丸ごとくくりつけられていたのだ。

ウィスコンシン州には、200万頭以上の鹿が生息していると推定されている。州の総人口(約590万人)に対して高い割合だ。 そのため、猟の期間中には毎年数十万頭もの鹿が狩られ(2025年も約19万頭が収穫された)、仕留めた肉は冬の間の貴重な食料(ソーセージやジャーキー、ハンバーガーなど)として家庭で消費される。また、余った肉をフードバンクに寄付するチャリティプログラムもある。

そのため、特に夜間は道路にも飛び出してくることがある。私も過去に鹿を轢きそうになり、肝を冷やしたことがあった。ちなみに夜の鹿の目は光っているので見つけやすい。

だから、私は「あの車は鹿を轢いてしまったのだな。でも、車が動くほどの浅い傷で本当によかった」と思った。

しかし、それは私の大きな勘違いだった。

今回は、アメリカの田舎町で体験した、文字通り「血の気の引くような」強烈なカルチャーショックについてお話しする。

勘違いから始まった、ウィスコンシンの熱い秋

事故ではなく、伝統の「成果」だった

実は、対向車の鹿は車に撥ねられたのではなかった。

ウィスコンシン州の「鹿狩り」のシーズン開幕を告げる光景だったのだ。この地域にとって、秋の鹿狩りは単なるレジャーではなく一大イベントなのである。

仕留めた鹿を車の屋根に誇らしげに載せて走る。それこそが、ハンターたちにとって最高のステータスだったのだ。

街中が「蛍光オレンジ」に染まる季節

この時期になると、街の景色も一変する。

安全対策のための法律として、猟銃期間中に森に入るハンターは、上半身と帽子の50%以上に「鮮やかな蛍光オレンジ」、または「蛍光ピンク」を着用することが義務付けられているのだ。

そのため、この季節になると地元のスーパーやモールの衣料品売り場は、オレンジ色の防寒着一色に染まる。それを見ると、「今年もこの季節が来たな」と、1年が経つ時間の速さを認識する。

私は鹿狩りという「野生のたくましさ」に圧倒されてしまった。しかし、本当の恐怖はここからだった。

寮の共有スペースが「殺人現場」に!?

真っ赤に染まったキッチン

ある日、大学の寮に戻ると、なんとなく血生臭かった。なんだろうと思いながらも、キッチンに行った。すると、まるで映画で見る殺人現場のように、「血まみれ」になっていたのだ。あちこちに「血溜まり」さえある。もともと自分の血液さえ目にするのが苦手の私は卒倒しそうになった。

狩りを終えた寮生たちが、戦利品の鹿を解体していたのだ。鹿の大きさを想像してみて欲しい。それを寮のキッチンで捌いているのだ。共有のキッチンが、その日ばかりは臨時の「肉の解体所」へと変貌を遂げていたのである。

友人宅の庭に現れた、天然の「巨大冷凍庫」

大木に吊るされた2頭の鹿

さらに、鹿狩りのイベントを目にする日が続いた。

週末、ルームメートの実家に招かれる機会があった。のどかな田舎の家に着き、車を降りた瞬間に、言葉を失った。

なんと、自宅の目の前にある大木に、2頭の巨大な鹿がロープで吊るされていたのだ。さらに衝撃的なことに、そのうちの1頭は、すでに下半身が切り取られていた。

マイナス20度の知恵

驚く私をよそに、友人の家族はあっけらかんとしていた。

冬のウィスコンシンは気温がマイナス20度にも達する極寒の地だ。そのため、外に吊るしておくだけで、庭がそのまま「天然の巨大冷凍庫」の役割を果たすのである。

彼らはこうして、冬の間の貴重な食料を少しずつ切り分け、家族で大切に消費していくのだと言う。

余談だが、一般家庭による牛の一頭買いも珍しいことではないそうだ。

意外な美味しさ!初めて食べた鹿肉の味

牛肉よりも赤みが多くクセがない

その日の夕食に鹿肉料理が出された。

予想していたよりもずっと臭みがなかった。鹿肉は牛肉よりも赤身が濃い。その一方で、脂が少なくてとてもさっぱりした味だった。

新鮮なせいか臭みもクセもない。そのため、ローストやステーキにすると驚くほど美味しい。

個人的なお気に入りは…

色々な食べ方がある。だが、個人的には「シチュー」にして煮込むのが一番好きだった。

アメリカの田舎の、自然と共生するライフスタイル。それを胃袋で実感した、忘れられない思い出である。

まとめ:都会の留学では味わえない、泥臭くも豊かなアメリカ文化

ニューヨークやロサンゼルスのような大都会への留学では、このような経験は決して味わえない。

車の上に積まれた鹿も、オレンジ色のハンター用のベストの売り場も、血まみれのキッチンも。そのすべてが、私がウィスコンシンで体験した、最高に驚いた異文化の一つであった。

異文化の「リアルなノリ」を体験してみよう

このようなアメリカの「生の姿」を経験するには旅行よりも短期でも留学するのが望ましい。

なぜなら、現地で「暮らす」からこそ見えてくるリアルなカルチャーがあるからだ。たとえ数週間の短期留学であっても、その後の人生観を大きく変える価値がある。

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