第8.5章:アメリカでスピード違反に捕まった日|バックミラーに赤色灯が映った瞬間

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どこまでもまっすぐ続くハイウェイ

アメリカのハイウェイは広い。私が住んでいたウィスコンシン州では片側2車線で、反対車線との間には大きなくぼ地が広がっていた。周囲に車がほとんど走っていないことも珍しくなく、道はどこまでも果てしなくまっすぐ続いている。

ある日、音楽を聴きながらシカゴへ買い出しに向かっていた。気持ちよく運転していると、バックミラーの向こうで何かが光った。

パトカーだった。

顔から血の気が引いた

その瞬間、顔から血の気が引いた。

「捕まる?」「強制送還?」「退学?」

頭の中は最悪の展開ばかりで埋め尽くされた。慌てて路肩に車を寄せ、停車した。

近づいてきたのは男性の警察官だった。怒っているように見えた。言い訳も思い浮かばず、「申し訳ありません」と小さな声でつぶやくのが精一杯だった。

警察官は車内から降りないよう指示し、運転免許証と自動車登録証の提示を求めた。書類を受け取ると、パトカーに戻り、無線で何かを話していた。

実際には短い時間だったのだろう。しかし私には永遠のように感じられた。

罰金50ドル

やがて警察官が戻ってきた。

「20マイル近い速度超過だ。罰金は50ドル。」

さらに、今支払わない場合は免許証を預かり仮免許証を発行すること、14日以内に支払わなければ免許が失効すると説明された。

当時、アメリカでは罰金を小切手で払うのが一般的だった。しかし私は反射的にクレジットカードを差し出してしまった。カードを持ってパトカーへ戻る警察官の後ろ姿を見た瞬間、気づいた。

家族用のカードだった。利用明細を見た両親に、警察へ罰金を支払ったことが知られてしまうかもしれない。

私はさらに落ち込んだ。

無表情のまま去っていった警察官

手続きが終わると、警察官は免許証を返してくれた。ひと言も余計な言葉はなく、無表情のまま去っていった。その後ろ姿が妙に怖く、それ以来スピード違反で捕まることはなかった。

後日、ウインカーの故障で止められたこともある。その時の警察官は笑顔で「早く修理した方がいいよ」と言っただけだった。アメリカの警察は怖いという印象を持っていたが、実際には違反の内容に応じて淡々と対応しているだけなのかもしれない。

今でも忘れられない冷や汗

それでも、バックミラーに赤色灯が映った瞬間の冷や汗だけは、今でも忘れられない。

余談だが、両親には何も言われなかった。気づかなかったのか、見逃してくれたのか。今さら蒸し返して余計なことになるのも嫌なので、この件は私の記憶からも消し去ることにした。

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