コラム:マンハッタンを1日で回るモデルコース|元NY在住者が教えるリアルな歩き方

NYに住んでいると、日本から友人が訪ねてくることが多かった。「せっかくだから1日でできるだけ多く回りたい」というのが、みんなの本音だった。何人もの友人を案内するうちに、自然とモデルコースが出来上がっていった。ガイドブックには載っていない、住んでいたからこそ知っている歩き方を紹介したい。

朝:セントラルパークから始める

マンハッタン観光は北から南へ下っていくのが効率的だ。まずはセントラルパークをゆっくり歩くことから始めたい。朝のセントラルパークは、犬を連れた近所の住人やジョギングをする人たちで穏やかににぎわっている。観光地というより、NYの日常がそこにある。広すぎて迷子になりそうだが、南北に長い長方形の公園なので、南口に向かって歩けば自然とミッドタウンへ出られる。

午前:ミッドタウンをざっと押さえる

セントラルパークを抜けたら、5番街へ。ティファニーやバーグドルフグッドマンが並ぶ目抜き通りだ。「ブランドものを買いたい」という友人には、ここで存分に見てもらっていた。円安だった当時でも、決して安くはなかったが、それでも本場のブランド品を手にする興奮は別物だったようで、友人たちは目を輝かせていた。

タイムズスクエアは午前中に通り過ぎるのがおすすめだ。人が少なく、看板の派手さを落ち着いて眺められる。夜のタイムズスクエアは、それはそれで圧巻だが、昼間は昼間の顔がある。

昼食:チャイナタウンで本場の味を

ミッドタウンから地下鉄でチャイナタウンへ向かう。NYのチャイナタウンは規模が大きく、本格的な広東料理や飲茶が食べられる。チップや物価高の影響はあるが、それでもミッドタウンや他の地区のレストランに比べれば、リーズナブルに本場の活気と味を楽しめる貴重なエリアである。友人たちにも毎回好評だった。街角の屋台で焼豚や腸詰めを買い食いするのも楽しい。観光地価格とは無縁の、庶民的なNYがここにある。

午後:ウォール街から自由の女神へ

チャイナタウンから歩いてウォール街へ向かう。かつて私が毎日通勤したエリアだ。ニューヨーク証券取引所の重厚な建物と、その前に立つジョージ・ワシントンの銅像が出迎えてくれる。スーツ姿のビジネスマンが足早に行き交う光景もNYらしい。パンデミック以降は人の流れが落ち着き、かつての喧騒は少し影を潜めたが、街に漂う金融街ならではの空気感は今も変わらない。

夕暮れ:バッテリーパークから自由の女神を望む

ウォール街のビル群を抜け、マンハッタンの南端にあるバッテリーパークへと足を延ばす。ここからは、リバティ島に立つ自由の女神を遠くに望むことができる。

女神の立つ島へ渡るフェリーは常に混雑しているため、1日という限られた時間の中では、あえて対岸から眺めるに留めるのも一つの選択肢だ。沈みゆく夕日に照らされ、ハドソン川の向こうに浮かび上がる女神のシルエットは、何度見ても胸に迫るものがある。この景色を眺めながら、友人たちは一日の旅を振り返り、旅情に浸るのが常であった。

日没後:ブルックリンブリッジの夕景

バッテリーパークからブルックリンブリッジまで歩く。夕暮れ時のブリッジからマンハッタンを眺める景色は、NYで一番好きな風景のひとつだ。ケーブルが幾何学的に張り巡らされたブリッジの上を歩きながら、対岸のダウンタウンのビル群がオレンジ色に染まっていく様子はいつまでも見飽きない。

夜:Grand Central Oyster Barで締める

1日の締めくくりはGrand Central Terminalの地下にある「Grand Central Oyster Bar」だ。1913年創業の老舗で、NYを代表するシーフードレストランのひとつ。アーチ型の天井が美しい空間で、東海岸の新鮮な牡蠣をいただく。クラムチャウダーも絶品だ。

「こんなところが駅の中にあるの?」と、友人たちは決まって驚いた。Grand Central Terminal自体が観光スポットとしても一級品で、コンコースの天井に描かれた星座の壁画は必見だ。

1日歩き回った疲れを、牡蠣とワインで癒す。これがNY在住者流のマンハッタン1日コースの終わり方だった。

もっとNYを知りたい方へ

NYをより深く楽しむために、友人たちが実際に役立てたガイドブックを紹介したい。

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